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財務の苦境続くIntel、コスト削減のやり玉に挙げられたRISC-VとTofino大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/4 ページ)

エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今月は、厳しい財務状況が続くIntelでのさまざまなコスト削減策と、そのシナリオでやり玉に挙げられたRISC-VとTofinoについて考察する。

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2023年1月は、メーカー各社の2022年度決算が一斉に発表される時期でもあり、実際多くの企業が2022年度の決算発表を行っている。その中でもひときわ目立ったのがIntelなのは、まぁ論をまたない。

 同社は2022年通年でこそ黒字決算を維持したものの、第4四半期だけで見れば6億6400万ドルの赤字を計上、通年で言っても売上が2021年度の790億2400万ドルから630億5400万ドルとほぼ160億ドルほど減らしており、営業利益も2021年の194億5600万ドルから23億3400万ドルと171億2200万ドルの減少となっている。とはいえ、最終損益で言えば80億ドルを確保しているし、なにより2022年度の業績悪化の最大の要因であったSapphire Rapidsの製品投入の遅延がやっと解決、2023年1月10日に製品発表も行われた(日本国内は12日に発表)。これにより2023年Q1以降はDCAI(Data Center&AI)の売り上げが大幅に増えることで、財務状況も好転するものと思われる。何しろ2022年はサーバベンダー各社からSapphire Rapidsベースの第4世代Xeonのバックオーダーが積み上がり、その一方でIce Lake-SPベースの第3世代Xeonの動きが止まっていたから、そりゃ売り上げも立たない訳である。当面DCAIはバックオーダーを消化するだけで手一杯であろうし、少なくともバックオーダーの消化が終わるまでは好調な売り上げが続くとは思われる。

 とはいえ、まだIntelは苦境を脱したとは言えない。現状CCG(Client Computing Group)は売上がそれなりにあるが、コロナに伴うクライアント機需要が全世界的に一段落してしまった感は否めないし、昨年発表した第13世代CoreことRaptor Lake製品の売上が芳しくないという報告もあるなど、まだ油断できる状況ではない。DCAIからのれん分けしたNEX(Network and Edge)は、売上こそ2021年の79億7900万ドルから88億7300万ドルと増やしているものの、営業利益は17億1100万ドルから7億4000万ドルと激減しているし、AXG(Accelerated Computing Systems and Graphics)は引き続き赤字のままで、しかも赤字幅が増えている(12億700万ドル→17億1600万ドル)。IFS(Intel Foundry Service)も同じで、2021年度は2300万ドルの赤字だったのが、2022年度は3億2000万ドルに拡大している。

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