IoTとドローンの活用:製造業のIoTスペシャリストを目指そうSeason2(12)(2/3 ページ)
今回のコラムは、IoTに関連する項目として、今まで取り上げなかった「ドローン」についてです。ドローンは、遠隔操縦や自律式の無人航空機として理解されることが多いですが、その用途は多岐にわたり、無限の可能性を秘めているといってもよいと思います。また、その法的規制は複雑でもあり、日本では2015年12月10日施行の改正航空法で「無人航空機」が定義されました。
プラント/工場におけるドローンの活用
先ほどドローンの活用事例についてまとめましたが、現在、非常に注目されているのがプラント保安分野におけるドローンの活用です。これは、石油コンビナート等災害防止3省連絡会議 (総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省)で取りまとめが実施されました。詳細はプラント保安分野における ドローンの活用に向けた取り組み(2019年3月)にまとめられています。
上記の資料では、プラントにおけるドローンの活用として、(1)高所点検、(2)事故予兆の分析、(3)災害時の迅速な点検に分け、事例も数多くまとまっています。
特にポイントになるのはプラントにおいては、各種の法規で規定されている危険区域が存在し、ドローンを活用する際に関連する法律が多数存在することです。そのため、社内においてドローンを活用する際には、推進の方針がまとまらないことが多数あります。そのため、下記のガイドラインが用意されています。
化学プラントにおいては、このガイドラインをもとにしたドローンを利用したプラント点検などの試行が実施され、効果が見え始めてきています。
前述の航空法などによる規制の他、プラントにおいては下記の法規制も重要になります。
- 電波法による規則(電波法第4条)
- 労働安全衛生法による規制
- 高圧ガス保安法による規制
- 消防法による規制
ドローンの活用による未来の社会
ドローンもIoT/AIと同様に、いろいろな技術と組み合わされ、さらに第4次産業革命/Society 5.0の観点での中核要素となっていくことは間違いないと思われます。それでは、どのような技術と融合し、新たな社会が形成されていくのでしょうか?
通信技術である第5世代のモバイル通信「5G」は、<1>高速通信、<2>大量接続、<3>遅延防止、<4>低消費電力などの特徴があります。全てにおいて、この5Gのメリットはドローンに生かされ。下記が可能になります。
- 高速通信による高精度の動画の送信
- 大量接続により多数のドローンが同区域に存在可能
- 遅延防止によりきめ細かい飛行制御
- 低消費電力によりバッテリー通信の長時間の飛行が可能
また、AR(拡張現実)との組み合わせによる新たな活用も考えられます。ARは、現実世界で人が見える情報などに、別の情報を加えることと捉えられます。ドローンで収集した動画にAR技術を活用することで(例えば災害時の危険リスクなどの追加情報を加えることで)、災害時の迅速な対応が可能になるでしょう。
車が交通手段や物流の要である地方社会においては、高齢者の増加により、多くの課題が発生しています。これらの地域の起爆剤になるのが自動運転であり、ドローンです。最終的に都市部への集中がなくなることも考えられます。最終的には、(無人航空機ではないですが)、自動運転技術とドローンが融合され、ドローンタクシーが交通手段の中核になっていくかもしれません。
今回の問題
それでは、IoT関連の知識、スキルアップに役立つ問題を出題します! 今回は、上記のドローン(無人航空機)に関連する問題です。
問題:
無人航空機であるドローンは、数多くの産業分野に生かされて、今後の社会の変革のつながっていくことが予想されます。一方、安全などの観点からの法規制も十分理解する必要があります。次のドローンに関連する法規制の説明の内容として、最もあてはまらないものを1つ選びなさい。
- 目視(直接肉眼)の範囲外でのドローンの飛行が禁止されている。
- 夜間のドローンの飛行は規制されている。
- 海上でのドローンの飛行は禁止されている。
- 私有地の上空へのドローンの飛行は規制がある。
注)上記は一般的な規制であり許可を受けた場合には、飛行可能になる可能性があります。
※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。
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