検索
連載

データ駆動社会のAI(人工知能)と統計手法製造業のIoTスペシャリストを目指そうSeason2(9)(1/3 ページ)

データ駆動社会においては、いかにデータを有効活用するかが重要です。その中で、AI(人工知能)が第4次産業革命のキーワードであることは事実です。しかし、筆者がコンサルタントして企業を支援していると、企業の誤解に近い考えにより、推進方法自体に誤りがあることが多数あります。今回のコラムでは、その推進方法の誤りを経験的に解決するため、統計手法について理解していただく内容になります。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 データ駆動社会においては、いかにデータを有効活用するかが重要です。その中で、AI(人工知能)が第4次産業革命のキーワードであることは事実です。しかし、筆者がコンサルタントして企業を支援していると、企業の誤解に近い考えにより、推進方法自体に誤りがあることが多数あります。今回のコラムでは、その推進方法の誤りを経験的に解決するため、統計手法について理解していただく内容になります。

AI(人工知能)、データ無ければただの赤子

 「コンピュータ、ソフトウェア無ければ、ただの箱」という言葉が以前、コンピュータ(ハードウェア)とソフトウェアの関係を説明する言葉としてよく使われました。今、AI(人工知能)全盛に時代にあえて、上記の「AI(人工知能)、データ無ければただの赤子」という言葉を使ってみましょう。

 この意味は、当然のごとく、学習をさせるデータが無ければ、AIというのは赤子(赤ん坊)と一緒であると意味です。赤子は、生まれてからの経験を基に学習をし、成長していきます。同様にAIは、その学習させるデータもある一定以上のデータ量と精度が必要です。これらの大量のデータを総称してビッグデータとも言われており、大量のデータから学習を実施する能力は、圧倒的にAIは人間を上回っています。

 このようにデータ分析/AIの重要性から、これまでに下記のようなコラムを執筆してきました。

AI(人工知能)と統計手法の考え方

 上記のように、大量のデータを有効活用するという意味では、統計手法もAIと基本的な考え方は共通です。「統計学が最強の学問」との言われる方もいるくらいに、統計手法も重要です。逆に言うと、統計学などの考え方をよく理解せずに、AIの活用を考えている組織は、AIがあたかも、「魔法のつえ」であるかのように、捉えていることも少なくありません。

 以前に、「AI活用の注意点」として、下記については「人間」が実施しないといけないと説明しました。

(1)活用する適切な目的の設定
(2)各手法と目的の関連の理解(必要なデータの選定)
(3)精度の高いデータの入手
(4)現場へ適用する際の考慮

 しかし、コンサルタントして企業を支援していると、AIの本質を表面的には納得してもらってはいます。ただ、いざ実践的に進めようと思うと、その本当の意味で理解できている場合の方が少ないのが実情です。上記の(1)〜(4)の項目は、AIの適用とともに、統計手法の適用にも当てはまる内容です。統計手法の適用などで既に(1)〜(4)の本質が理解できている組織においては、大きく問題に直面せず、AIの推進が可能になる傾向にあります。

表計算ソフトによる「データ分析文化の浸透」

 データ駆動社会においては、企業の組織力向上のためにデータ分析を組織の中で習慣づける必要があります。将来的には、プログラミング知識が常識になり、Pythonなどの機械学習のライブラリーを利用することが求められますが、組織の中で“データ分析”文化を醸成させるためには、Excelなどの表計算ソフトを活用することをお勧めします。Excelは、PCを利用する担当者のかなりの割合の人になじみのあるソフトウェアであり、上記の“プログラミング”“Python”“機械学習ライブラリー”などのハードルが高いものにいきなりチャレンジすると、推進が思うようにいきません。また、以前は統計手法を活用しようとすると、専用のライセンス料が高いソフトウェアを使う必要があり、また、かなりの勉強が必要でした。最近は、Excelなどで手軽にかなりの統計手法が使うことができ、またWeb検索を行えば、統計手法を始めとしたExcelのデータ分析について、すぐ調査することも可能です。

 また、最近、「現在、Excelを使うのと同様に、10年後はPythonなどを利用したデータ分析技術が当たり前」になるとの話を聞きました(私も近いニュアンスで今後の社会を説明することもありましたが……)。この話から、発生する誤解は、「【1】既にExcelは、皆が使いこなしている」「【2】Pythonなどを即、皆が使えるようにすべきである。」です。実際には、【1】Excelの統計手法を始めとしたデータ分析は、ほとんどの人が使いこなしていませんし、【2】Pythonなどのプログラミングが伴う機械学習ライブラリー利用をいっぺんに組織へ適用しようと思っても困難です。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る