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銀座線が消えた!? 初心者泣かせなJR渋谷駅の方向表示板のワナ組み込みエンジニアの現場力養成ドリル(13)(1/2 ページ)

なぜこのようなユーザーインタフェースが存在するのか……。駅シリーズの第2弾、前回の「京急蒲田駅」に続き、今回は方向音痴の筆者が「これはアカンやろ!」と感じた「JR渋谷駅」の方向表示板のワナについて取り上げます。“絶対に避けるべき”悪いユーザーインタフェースから学べることがたくさんあります。

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はじめに

 前回のコラムでは、「京急蒲田駅の迷宮」と題して、同駅の“通常のロジックを超越したユーザーインタフェース”について取り上げました。

 汎用(はんよう)系機器とは異なり、組み込み系製品にはユーザーインタフェース用の表示スペースが十分ではなく、とても設計に苦労している印象があります。例えば、プリンタのエラーや状態表示パネルの大きさは、カマボコ一切れ分もなく、最少の文字数や記号であらゆるエラー、操作手順を表示しなければなりません。このミニマル性が故に、組み込み系機器のユーザーインタフェースは、設計者の“究極のセンス”が試されているといえます。ユーザーインタフェースのセンスを磨く意味で、前回、京急蒲田駅の迷宮を取り上げました。

 京急蒲田駅のユーザーインタフェースは、「常識的にはこのようになっているはず」という通常の人間のロジックを超越した“不条理”に満ちていましたね。今回も「駅のユーザーインタフェース」について取り上げますが、今回のネタである「JR渋谷駅」は、不条理ではなく“不親切”と“意地悪”が満載です。なぜ、このようなユーザーインタフェースになったのか? 渋谷駅に降りるたびに、不思議に思います。組み込み系のユーザーインタフェースとして、このタイプは“絶対に避けるべき”です。

方向音痴にとって最重要な駅のユーザーインタフェース

 前回の冒頭でも述べましたが、大学で筆者は本来の“営業品目”であるソフトウェア工学だけでなく、少し(かなり?)専門外の「ユーザーインタフェース」も担当しています。街を歩いていて、「良いユーザーインタフェース」や「悪いユーザーインタフェース」に出会うと携帯電話のカメラで撮影し、それを授業で紹介しているのです。

 さて、今回取り上げる駅の行き先案内表示は、「駅の機能」と「人間(特に、駅の知識がない人間)」を結び付ける重要なユーザーインタフェースです。日本で3番目に方向音痴である筆者には、駅の案内表示が分かりやすいかどうかは死活問題です。筆者にとって「最悪のユーザーインタフェース」が、前回の京急蒲田駅の迷路でした。実は、鉄道系でもう1つ「これも絶対にダメ、京急蒲田駅と同じぐらいアカンやろ」というユーザーインタフェースがあります。それがJR渋谷駅の方向表示板です。何がどうダメなのか、個人的な不満と画像を交えて説明します。

方向表示板に従えば、正しく「遭難」できるJR渋谷駅

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