サービス領域における「デジタルツイン」はアフターサービスで真価を発揮する:超速解説 デジタルツイン【サービス領域】(3/3 ページ)
「デジタルツイン(Digital Twin)」の活用領域の1つに、アフターサービスの現場が挙げられる。本稿では、アフターサービスの現場におけるデジタルツインの価値や実現のために不可欠な技術要素について取り上げる。同時に、本格採用に向けての課題、そしてデジタルツインに“いつ取り組むべきか”を分かりやすく解説する。
広がりつつある拡張現実のソリューション
センサー値やサービス手順を、実際の映像に重ね合わせて表示するといった使い方の他にも、拡張現実がアフターサービスや整備の現場で利用できる場面が増えてきました。
その1つが、ビデオチャットと拡張技術を融合させたタイプのソリューションです。定型的な作業ではないトラブル時の対応では、用意されているサービスマニュアルや整備手順書では不十分なことがあります。そうした場合、サービス技術員は機器の設計者などに連絡を取り、専門的な技術サポートを受ける必要があります。
従来は電話で音声通話をしたり、スマートフォンで写真を撮ってメールで送ったりしていましたが、現在ではスマートフォンのカメラ映像を利用してビデオチャットを行えるようになってきました。
最先端の技術では、ビデオチャットの参加者が動画の中の物体にマークや文字を書き込むことができるようになりました。単に映像を共有するのではなく、映像の中に具体的な指示を書き込むこと、そして指示が書き込まれた物体を認識してスマートフォンのカメラが移動しても物体に指示が追随することで、より効果的な遠隔からの技術サポートが実現できます。
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サービス向け「デジタルツイン」にはいつ取り組むべきか?
1970年代にXerox(ゼロックス)のパロアルト研究所でマウスとグラフィックディスプレイを使用したグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)が誕生して以来、半世紀近くにわたり、コンピュータと人間とのインタフェースには大きな進化がありませんでした。
しかし、現在では拡張現実の技術が目を見張るような速さで進化し、ユーザーインタフェースに革命をもたらしつつあります。現実の業務に採用することを考慮したとき、拡張現実の技術はまだまだ未完成ですが、数年後にはウェアラブルデバイスの長足の進歩とソフトウェアの処理技術の革新とで、より身近に採用できるものになると筆者は見込んでいます。
アフターサービスにデジタルツインを採用する際、データの上り路線となるIoTを巡る技術や環境は既に熟成しています。多くの企業が既にIoT技術を日々の業務に利用しています。一方、データの下り路線となる拡張現実への取り組みを始める場合、“企業が技術を吸収して展開する時間”を考慮すると、もはや「時期尚早」とは言い切れない時代に突入しているといえます。
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