ロボットによる自動溶接システム、船舶建造の大型ブロック組み立て工程向けに:神戸製鋼所
神戸製鋼所は、船舶建造の大型ブロック組み立て工程(造船大組立)において、ロボットによる自動溶接を可能にするシステムを発表した。
神戸製鋼所は2017年10月、船舶建造の大型ブロック組み立て工程(造船大組立)において、ロボットによる自動溶接を可能にするシステムを発表した。自動溶接ソフトウェア「SMART TEACHING」、小型溶接ロボット「ARCMAN A30S」、溶接ワイヤ「FAMILIARC DW-100R」、IoT(モノのインターネット)を活用した安定生産支援システム「AP-SUPPORT」で構成される。
SMART TEACHINGは、溶接施工技術とICTを活用。造船設計向けの3D CADで作成された設計図からブロックの溶接線を自動で抽出し、ロボット教示プログラムを自動生成する。ロボット動作パターンを現場で作成する必要がなくなり、大組立工程の溶接自動化率を向上する。
ARCMAN A30Sは、十分な剛性を確保した上で、モーターおよびケーブルをアームに内蔵した。これにより、同社標準機比で質量83%減の小型化に成功。また、これまでは困難とされてきた、溶接始終端の角巻部や部材を組み合わせる過程で生じた5mmまでの隙間についても自動での溶接が可能になった。
FAMILIARC DW-100Rは、垂直に立てた板の交点を水平に溶接する「水平すみ肉溶接」で必要とされる形状を維持し、かつ下から上に向けて溶接する「立向上進溶接」の速度を高めたロボット専用の全姿勢用ワイヤだ。自動溶接ソフトウェアや小型溶接ロボットと組み合わせることで、高品質かつ高能率な溶接が可能になる。
AP-SUPPORTは、溶接作業を効率化するシステム。ロボットの溶接条件、過去のトラブル発生などの生産履歴を蓄積して作業品質を向上する。また、ロボットの稼働、溶接状況データをリアルタイムに遠隔地に送信し、生産技術部門でのトラブル発見や解決までの時間を短縮する。工場間をネットワークでつなぐことで、生産性改善に向けて情報共有ができるため、国内マザープラントから海外プラントへの生産支援にも役立つ。
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