生産効率はこれまでの数十倍に向上
日本触媒は2017年2月、酸化グラフェン系材料の量産試作に成功したと発表した。生産効率がこれまでの数十倍に向上したことから、評価用としてサンプル品の供給を始める。
酸化グラフェン系材料は、厚みが約1nmと極めて薄く、一辺の幅も数マイクロメートルレベルの薄片状物質である。最近は、その特性を生かして、次世代の電池材料や潤滑剤、水浄化用、触媒などの機能材料として用途開発が進んでいる。ところが、従来の酸化反応プロセスだと大量に生産することが難しく、材料の単価は高価になっていた。
日本触媒は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実用化プロジェクト(期間は2010〜2016年度)において、酸化反応におけるこれまでの課題を解決し、酸化グラフェン系材料の量産試作に成功した。同社によれば、これまでの方法だと生産できる量はバッチ当たり150gであった。新たな製造方法を用いることで、バッチ当たり4kgまで生産量を向上させることができるという。
課題解決にあたっては、自社で蓄積してきた化学品製造工程における化学反応を安定に進行させる制御技術と、岡山大学がこれまでに解明した酸化グラフェンの生成メカニズムに関する知見を融合し活用した。
用途に適合した形態で材料を供給
酸化グラフェンはいくつかの特長を持つ。酸素官能基を有した薄片構造により、水分散性や酸化活性、高表面積といった特性が現れる。還元すれば還元型酸化グラフェン(RGO)に変換することが可能となる。酸素官能基を修飾すれば修飾型酸化グラフェン(MGO)に変換可能、などである。
このように、物性を調節することが可能なため、用途に適合した形態で材料の提供が可能だという。例えば、酸化グラフェンは水分散体(粉体は応相談)、RGOは溶媒分散体または粉体、MGOは溶媒分散体または粉体で提供される。
なお、日本触媒は用途開拓に向けて、主な特性を持つ酸化グラフェン系材料をサンプル品として用意し、提供を始める。
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