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電子部品メーカーが「顔の見える企業」になることの意味:ローム「音質設計技術」(1/2 ページ)
再編が続くエレクトロニクス業界。その目的が「競争力強化」があることは明らかだが、「顔が見える企業」へとなることで競争力を高めようという電子部品メーカーもある。
エレクトロニクス業界の事業再編が止まらない。2016年にはソフトバンクによるARM買収やON SemiconductorによるFairchild Semiconductor買収、QualcommによるNXP Semiconductors買収が発表あるいは実行され、生き残りを賭けた再編が活発に行われている。
この波は日系企業にも例外なく訪れており、TDKは企業買収によるセンサー事業の強化、ルネサス エレクトロニクスは自動車と産業機器にフォーカスした戦略を進めるなど、さまざまな手段で競争力の維持向上に努めている(巨額損失の計上でメモリ事業の売却が濃厚となっている東芝の場合は、この波にさらわれたと表現すべきかもしれない)。
事業再編の目的としては「売り上げ規模や製品ポートフォリオの拡張によって競争力を高める」「不足する技術や製品を補う」などが挙げられるが、最終的な目標は企業の競争力強化に尽きる。老舗の電子部品メーカーであるロームは競争力強化のため、「顔が見える企業」への転換を図ろうとしている。
評価を数値から感覚へ、「音質設計技術」導入
ロームはカスタムLSIの開発製造に強みを持つ電子部品メーカーだが、チップ表面に社名ロゴを入れないなど部品提供の裏方に徹する企業という印象が強い。しかし、近年ではそのスタンスを自ら変えようとしている。特徴的な製品が、「音質設計技術」導入をうたい提供を開始したオーディ関連部品だ。
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