宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(99)
不穏なサイバー空間の動向を自分事として捉えるために今見ておくべき“指南書”(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。今回はランサムウェア攻撃や情報漏えい被害といった不穏なサイバー空間の動向を自分事として捉えるために読んでおきたいインシデント報告書などを紹介する。
以前、アイティメディア主催セミナー「ITmedia Security Week 2024 冬」(会期:2024年2月26日~3月4日)にも登壇したことのある、GMOサイバーセキュリティ by イエラエ サイバーセキュリティ事業本部 執行役員 兼 副本部長の阿部慎司氏が、ランサムウェアに関する対策ポイントについて、YouTubeで情報発信しています。
ご存じの通り、ここ最近のサイバー空間は混迷を深めており、日本でも多くの企業がランサムウェア攻撃および情報漏えいの被害を発表しています。いま一度、阿部氏の動画をご覧いただき、ランサムウェア対策について認識を深めていただければと思います。
全ての製造業がもはや無視できない状況を知る
ランサムウェア攻撃は「身代金(Ransom)」を要求するものです。最近では、暗号化でシステムを破壊し、その復号のための鍵と引き換えに身代金を要求するというものから、その前に企業内にある情報を根こそぎ外部に持ち出して、「情報を暴露されたくなければ身代金を払え!」などという「多重の脅迫」が当たり前になっています。ソフトウェアで暗号化しないという意味から「ノーウェアランサム」という表現も登場しています。
そして、ランサムウェア攻撃の対象にも変化が見られています。警察庁が定期的に公開している「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」の統計では、阿部氏も指摘しているように、被害が中小企業にまで広がっていることが分かります。つまり、製造業の多い日本では、必然的に中小企業がターゲットになっているといえます。
さらに、その“侵入経路”も注目です。これまでは、ほとんどが「メール」でした。不正な添付ファイルから、もしくは不正なURLからマルウェアをダウンロードさせ、実行させるというスタイルが当たり前でした。しかし、今ではその経路も「VPN機器」からの侵入が主流(第1位)となっています。
従来は、組織内の誰かがうっかりURLやファイルをクリック(アクション)しなければ侵入できませんでしたが、今日では脆弱(ぜいじゃく)性が残ったVPN機器があるだけで、誰もアクションを起こすことなく、侵入されてしまいます。大急ぎで設置したであろうVPN機器が、“そのまま動くから”という理由で長らく放置され続けている現場は多いのではないでしょうか。そうした現場が被害に遭うわけです。
侵入経路の第2位は、同じくリモートアクセスで多用されているであろう「リモートデスクトップ」からの侵入です。攻撃者は不用意な侵入経路を次々と狙って攻撃を仕掛けてきます。
あのJAXAが狙われた
こうした不穏な動向について、別の世界の話ではなく“自分事”として考えさせられる事件も発生しています。2023年10月に発生した宇宙航空研究開発機構(JAXA)を狙った不正アクセスによる情報漏えいです。本件に関して、2024年7月5日に、JAXAがレポートを公開しています。
レポートによると、このインシデントはまさにJAXA内のVPN機器の脆弱性が狙われたもので、その後は攻撃のセオリー通りに内部に侵入され、重要なアカウント情報の窃取、「Microsoft 365」の正規ユーザーとして不正アクセスが行われたとあります。
JAXAといえば、日本でトップクラスの「機密情報の宝庫」といえるでしょう。華々しいプロジェクト成功の報があった裏で、その情報を虎視眈々(たんたん)と狙う攻撃者がいたことになります。
これらの情報をまとめると、ランサムウェアは重要インフラやさまざまな機密情報を保持する中小企業の被害が大きく、「どの企業も攻撃されている」と考える必要があること、そして、その侵入手法は変化しており、ネットワーク機器の“真の意味での保守”が必要であることが導き出されます。
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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