IoTセキュリティ
ウクライナのサイバー攻撃被害「こうすれば防げた」
20万人が停電の被害を受けた、2015年末のウクライナのサイバー攻撃被害。これは「電力網のIoT化」が遠因であったが、どうすれば防げたのだろうか。米WindRiverは「多層防御ならば防げたかもしれない」という可能性を指摘した。
2015年末にウクライナで起こった、20万人以上に影響を与えた大規模停電はサイバー攻撃がその原因だった。偶発的なものではなく、意図された「攻撃」であることから大きな話題となったが、これは電力網がデジタル化され、ITシステムによって制御されるようになったことがその遠因といえる。
言い換えれば「電力網のIoT化」が遠因であったわけだが、「IoTセキュリティ」の観点からはどう教訓とすべきなのか。最近ではRTOSだけではなく、IoT関連の製品やサービスを充実させているウインドリバーは「提案するコンセプトならばウクライナのインシデントは食い止めることができたかもしれない」という。
ウインドリバーといえば「VxWorks」や「Wind River Embedded Linux」といった組み込みOSで知られるが、組み込みOSが搭載されるデバイスの管理、またはデバイスの接続性確保といった観点から、デバイスライフサイクル管理プラットフォーム「Wind River Helix Device Cloud」や、クラウド対応OS「Wind River Pulsar Linux」といったIoT関連製品やサービスも多く提供している。
米WindRiverのティム・スカット氏(プロダクトマネージメント担当ダイレクター)は2017年11月10日に行われた記者説明会にて、IoTセキュリティを考える際の「つながり」は、デバイスとクラウドの垂直方向とデバイス間の水平方向の2つがあり、いずれも保護にしなくてはならないと述べた。過去最大規模のDDoS攻撃を引き起こしたとされるマルウェア「Mirai」はネットワークカメラや家庭用ルーターといったIoTデバイスを踏み台に、サーバ(垂直方向)や同種のIoTデバイス(水平方向)を攻撃しており、スカット氏の発言を裏付ける。
そしてスカット氏が具体的な取り組みとして挙げるのが、デバイスやサービス、管理といった各レイヤーにセキュアなプロセスを用意する多層防御の展開である。ウインドリバーはハードウェア(半導体)を製造していないが、ArmのTrustZoneといったセキュリティアーキテクチャと連動し、鍵認証やセキュリティアップデート、機械学習を生かした検出などを提供していく。
スカット氏は2015年末に発生したウクライナでの電力網攻撃を例に挙げ、「送電停止」という大きな被害につながるまでには、「ファームウェアの書き換え」「SCADAの乗っ取り」「UPSへの改ざん指示」などといった段階を経ていることを指摘し、「私たちならばさまざまな防御手段を有しており、多層防御の導入はこうした攻撃に対しても有効だったのではないか」と意見を述べた。
セキュリティに対する考え方において、多層防御のアプローチは新規性のあるものではない。ウインドリバーならでは優位性についてスカット氏は「さまざまなデバイスに対してOSなど自社製品を提供しており、多くの知見を得ている」と語り、VxWorksやWind River Embedded Linuxなどの提供を通じた、IoTデバイスについての知見の深さを自社の強みとして挙げた。
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