TechFactory通信 編集後記
HomePodの敵はAmazonでもGoogleでもなく、スピーカーに話す「違和感」だ
Amazon EchoやHomePodの登場で盛り上がるスマートスピーカー。音声入力は業務用途においてはある程度の導入が進んでいますが、一般家庭用品ではどうでしょうか。
「Amazon Echo」や「Google Home」、それに「HomePod」。音声認識とアシスタント機能を有したスマートスピーカーの市場が盛り上がりつつあります。HomePodについては価格(349ドル)が高いという声もありますが、AmazonやGoogle、それにAppleというメジャープレーヤーが音声入力をインタフェースにしたAI的なアシスタント機能に大きな期待を寄せていることは明らかです。
これらスマートスピーカーは家庭向け製品ですが、こうした製品の登場は音声入力の普及を促進することになるのでしょうか(未発売のHomePodはオーディオ製品としての側面が強そうなので、毛色が違うかもしれませんが)。約1年前のものですが、興味深い調査結果があります。
米調査・コンサルティング会社のCreative Strategiesが2016年6月に発表したもので、「iPhoneユーザーの98%はSiriの音声での問い掛けを使ったことがあるが、人前で使ったことがあるのはわずか3%にすぎない」という結果が出ています(関連記事:Siriを人前で使うのはわずか3%──米調査結果)。
この記事は、2017年6月12日発行の「モノづくり総合版 TechFactory通信」に掲載されたTechFactory担当者による編集後記の転載です。
ちなみにこの調査では、Androidユーザーで「OK Google」を使ったことがあるのは94%で、人前で使ったことがあるのは12%という結果も出ています。調査には「音声入力を用いたアシスト機能をどこで使いますか」という設問もあり、51%が自分の車、39%が自宅、6%が公共の場、1.3%が職場と答えています。このことから、いずれにしてもデバイスに話しかける音声入力という行為がまだ、多くの人にとって「恥ずかしい」のではないかと推測できます。
その一方で音声入力の業務利用は、着実にその利用数を増やしています。製造業においては入力を音声に置き換えればハンズフリーが実現し、作業効率や安全性を高められます。近年ではタブレットやスマートフォン、ウェアラブルなどでも、音声を認識するのに十分な処理能力と認識精度を持っており、ピッキングや部品検査、作業ナビゲーションなどに利用されています(関連記事:製造現場での音声認識導入を失敗させる2つの原因と対応策)。
音声でのコミュニケーションが、短時間で多くの情報を伝える優れた手段であることは事実です。ですが、音声での対話は長く人と人の間で行われてきたため、まだ多くの人にとって無機質な箱や機械に話しかける行為は不自然なものとなります。
話しかける目的が仕事であったり、手が離せない運転中であるなど、何らかの必然性があるならばその不自然さを乗り越えられるでしょうし、また周囲に他人がいない自宅ならば、この不自然さを乗り越えられるかもしれません。
家庭用ロボット「ロビ」の開発者である高橋智隆氏は、以前、「音声認識を用いる端末に何かしらの命が感じられれば、人は抵抗なく話しかけるはず」と対象の重要さを語っています(関連記事:「“スマホの次”は小型コミュニケーションロボ」ロビ産みの親、高橋氏が考える近未来)。ですが、現在姿を現しているスマートスピーカーは「話しかけたい」デザインとなっているのでしょうか。
もちろん、人は慣れる生き物です。電話機が登場した頃、受話器に向かって話す行為は違和感のあるものであったに違いありませんが、いまでは「電話機と認識されるものに話しかける行為」に違和感を覚える人はないでしょう。「スマートスピーカーに話しかける行為」の違和感がなくなるのはいつになるのでしょうか。
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TechFactory通信 編集後記
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