連載
日本の半導体戦略は“絵に描いた餅”:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、急に盛り上がってきた「日本の半導体戦略」についてお届けする。
前回はFabやメモリベンダーの相次ぐ生産能力拡充の話をお届けしたが、今回は日本における半導体関連の動きを取り上げる。日付的には6月入ってしまうのだが、2021年6月4日に経済産業省が「半導体戦略」と題する取りまとめを発表したことは、MONOistで掲載されたこちらの記事の通りである。これに先立ち2021年5月31日には「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(助成)」の採択事業者を発表したが、この中で「高性能コンピューティング向け実装技術」の委託先がTSMCジャパン3DIC研究開発センターになっているという話はMONOistのこちらの記事に報じられた通りだ。もっと前にさかのぼると、2021年3月にはAIST(国立研究開発法人産業技術総合研究所)を受託者(パイロットライン構築)とし、東京エレクトロンとSCREENセミコンダクタソリューションズ、キヤノンを協力会社として先端半導体の「前工程技術(More Moore技術)の開発」の助成を行っているというわけで、今年に入って急に半導体産業の助成に向けて経済産業省が突っ走っている感じが強い。実際2021年3月から3回にわたり、「半導体・デジタル産業戦略検討会議」を開催、この3回の資料を基に2021年6月4日に半導体・デジタル産業戦略の取りまとめを行った。先に挙げた「半導体戦略」は、この取りまとめ資料の骨子にあたるものである。
この「半導体戦略」、少なくとも途中までは内容は真っ当である。
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