SamsungがNVIDIAの7nm EUVを失注/5nmレースの行方:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2020年5月の業界動向の振り返りとして、SamsungがNVIDIAの7nm EUVを失注した話題と、5nmプロセスの各社動向など昨今のプロセス周りの話をお届けする。
ロックダウンの影響もあり5月もいろいろイベントが延期になっている。そんな中でひときわ大きな動きはHuaweiに対する禁輸措置の強化(例えばこれとかこれなど)であるが、これは現在も進行中の話であって、まだ全貌が見通せていない。それもあって今月のお題としては見送りさせていただき、今回は昨今のプロセス周りの話をしたい。
SamsungがNVIDIAの7nm EUVを失注
NVIDIAは2020年5月14日にGTC 2020の基調講演をオンラインで実施、この中でAmpereことNVIDIA A100 GPUを発表した。A100の話そのものはこちらにまとまっているほか、こちらにもう少し細かい話が出ているので参照していただくとして、問題はこれがTSMCのN7(7nmのArF液浸+マルチパターニング)プロセスを利用して作られたものだったことだ。
もともと7nm世代、TSMCはまず液浸+マルチパターニングのN7を立ち上げ、次いでEUVを利用したN7+を立ち上げる予定だった。最近はこれにN7P(N7の改良型。ArF液浸+マルチパターニング)とN6(N7と設計の互換性があるEUVプロセス:N7+はN7と互換性がない)が加わってややこしい事になっているのだが、取りあえずN7/N7P/N7+に関しては、これを利用して製造したチップが市場に出回っており、N6に関しては2020年の第1四半期からRisk Productionがスタートしている。ただこのTSMCはの7nm世代は、
- N7/N7Pに関しては初期コスト(マスクコストなど)が非常に高くつく
- 多くのベンダーがTSMCを利用するため、望む通りの生産が難しい
- もともと7nm世代の本命はEUV露光であり、N7を挟むことでEUV導入が遅れる可能性がある
といった懸念が呈されていた。一方SamsungはArF液浸+マルチパターニングは10nm世代に留め、7nmは全てEUV露光で行うという決定を早くから発表しており、またTSMCに比べると採用ベンダーが少ないために、量産に際して出荷量を確保しやすいと見られていた。
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