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沖縄漁師の経験と勘を未来へつなぐ、IoTによる環境モニタリングが秘めた可能性沖縄モノづくり新時代(2)(1/3 ページ)

エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や魅力発掘の後押しとなる。本連載の主役は、かつて“製造業不毛の地”といわれていた沖縄。第2回では「Wi-SUN」を採用した無線デバイスで、もずく養殖の環境データを可視化する取り組みを紹介する。

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 羽田空港から那覇空港へと飛行機で2時間40分。那覇の市街地を抜け、さとうきび畑と住宅に挟まれた道を南に進むこと40分。沖縄県南城(なんじょう)市に位置し、太平洋を望む「志喜屋(しきや)漁港」が、“世界初”をうたう実証実験の舞台だ(図1)。

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沖縄県南城市にある「志喜屋漁港」で、IoT(Internet of Things)を活用した実証実験が始まった
図1 沖縄県南城市にある「志喜屋漁港」で、IoT(Internet of Things)を活用した実証実験が始まった。Wi-SUNを採用した無線デバイスでもずく養殖の環境データを可視化する取り組みだ

 沖縄の方言で「スヌイ」と呼ばれ親しまれている「沖縄もずく(通称、太もずく)」は、酢の物だけではなく、みそ汁やスープ、天ぷらなどにも使われている県民食(図2)。海上ブイにセンサーと無線デバイスを取り付け、もずく養殖の環境をモニタリングしようという“IoT(Internet of Things)活用”の実証実験が2015年12月に始まった。

もずくのお土産もずくの天ぷら 図2 沖縄の漁業分野の中で重要な生産品目であるもずく。県内各地で養殖されており、県内はもとより、日本各地に出荷されている。(左)は那覇空港のお土産品店で並ぶもずくのお土産。(右)は志喜屋漁港にほど近い奥武島の名物であるもずくの天ぷら ※画像クリックで拡大

 無線によるデータ収集には、電力のスマートメーターに採用されている国際標準規格「Wi-SUN」を使う。「Wi-SUNを漁業分野に適用した世界初の事例」(Wi-SUNの規格化を推進した情報通信研究機構)だという。

 IoTによる環境モニタリングが沖縄のもずく養殖、ひいては「養殖漁業」の何を変えるのか? もずく養殖に日々向き合う漁業共同組合(漁協)担当者と、今回の実証実験を計画・実施した情報通信研究機構(NICT)に聞いた。

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沖縄のもずく養殖が抱える大きな課題とは?

 もずく「養殖」と言っているが、実際には「天然」に近い。もずくの養殖は本当に難しいですよ――。実証実験の舞台となった漁港を管轄する知念(ちねん)漁協の担当者に、もずく養殖について聞いて返ってきたのがこの言葉だ。

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