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FD-SOIがついに大規模量産で日の目を見るのか? STの戦略を読み解く大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)

STMicroelectronicsが、次世代「STM32」MCUを、18nmのFD-SOIプロセスで製造すると発表した。この発表、実はかなり興味深い。それはなぜなのか、FD-SOIのこれまでの経緯をたどりながら解説したい。

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 STMicroelectronics(以下、ST)は2024年3月19日、同社の「STM32」マイコンの次世代品に関するリリースを出した。骨子は、以下の通りである。

  • 18nmのFD-SOI(完全空乏型シリコンオンインシュレーター)プロセスを利用して、次世代STM32 MCUを生産する
  • ことし(2024年)後半に特定顧客向けのサンプル出荷を開始、本格量産は2025年後半を予定
  • この18nm FD-SOIプロセスではメモリとしてePCMを利用する。このプロセスは同社とSamsung Foundryが共同で開発した

出所:STMicroelectronics

10年以上の実績がある「FD-SOI」プロセス

 興味深いのは、ここで18nm FD-SOIを採用したということだ。STはFablessではなくFab Lite戦略を取っており、現状前工程と後工程のFabが7カ所ずつ存在している。拠点は9カ国に分散しているが、一番多いのがフランスで、Tours、Rousset、Crollesの3カ所にある。この中で最大のものがCrollesで、ここのクリーンルーム面積は3万m2、次いでRoussetの2万7000m2、Toursは1万1000m2となっており、この中でFD-SOIの生産はCrollesが担っている。2012年12月には28nmのFD-SOIを利用した先行量産を開始した事をアナウンスしていて、ここから数えると既に10年以上の量産の実績がある事になる。もっとも、このアナウンスの中で言及されたST-Ericsson向けのモバイル用チップは、そのST-Ericssonが2013年3月に合弁解消となった事で幻となってしまったが。余談だが、この合弁解消直前のリリースでは、3GHz動作を達成した事も発表している。これは恐らく、その幻となってしまったST-Ericsson向けのアプリケーションプロセッサで達成したものだろう。

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