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Z-WaveのOpen化/CobhamのRISC-V参入/FPGAが続々RISC-Vに対応大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)

エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2019年12月の業界動向の振り返りとして、Z-WavenのOpen化とRISC-V Summit絡みの小ネタをお届けする。

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 さすがに12月になると、特に欧米ではクリスマス休暇と言う事もあって動きがかなり鈍くなる。それもあって今回の業界動向振り返りは小ネタを3本。そのうち2本は、2019年12月8〜10日に米国サンノゼで開催されたRISC-V Summit絡みである。

Z-WaveがOpen化

 Z-Wave Allianceの話は以前、2017年9月に掲載した「IoT観測所」で書かせていただいた。もともとはZensysというデンマークの会社が開発したWireless Mesh Networkの規格で、2006年にはAllianceを構成しているが、Zensysが2008年に米国のSigma Designの傘下に入り、その後はSigma DesignがAllianceを主導してきたというところまでは記事の通りである。そのSigma DesignのZ-Wave関連事業を、2018年に米Silicon Labsが丸ごと買収した

 Silicon LabsといえばZigbeeやThreadを推進してきた大手ベンダーであり、現在もZigbee AllianceのPromotorの1社である。そのSilicon LabsがZ-Waveを手にするというのは一見矛盾するようにも見えなくはない。ただ考えてみれば、Z-WaveはSub 1GHzのISM Band、ZigBeeは2.4GHz帯なので、実はZ-Waveを手掛けたからといってZigBeeに直接影響があるか? というとそうでもなかったりする。実際のアプリケーションに採用されている、という観点で言えばZigBee/Threadベースの製品展開が遅々として進まない一方で、Z-Waveは既に広範なメーカーの製品に採用され、しかも相互接続性がZigBeeよりもずっと優れていた。これは仕様面での話ではなく、実際の製品レベルの話である。何しろ既に多数の製品が市場に存在しており、これらと相互接続性試験を試験を自身で行うのはそう難しくないからだ。このあたりが、製品数がまだ少ないZigBeeに対するZ-Waveのアドバンテージになっている。

 あえて言うなら、Z-WaveがZigBee Home Automationのマーケットを先取りしてしまった感じだが、それであればZ-Waveを手中に収めてSub 1GHz向けRF(や、そのRFまで統合したMCU)の市場をつかむのはSilicon Labsとしては理に適っている。そしてZigBeeはZ-Waveよりも広い用途を考慮しているので、Z-Waveとぶつからない所でZigBeeやThreadを推進してゆけばよい。Silicon Labsが考えたのはおそらくこんなシナリオである。

 さてそのZ-Wave、RFというかPHY/MAC層に関してはITU-T G.9959として標準化された仕様に準拠しており、その意味ではOpenである。ただその上層にあたるネットワーク層とアプリケーション層、およびHost-Deviceのコミュニケーションプロトコルに関してはメンバー企業にのみ公開されており、一般には非公開であった。これが一転するのは2019年12月19日の事である。Silicon LabsとZ-Wave Allianceは、2020年後半に、PHY/MAC層を含む全てのプロトコルを公開することを決めた事を発表した

 いったい何があったのか(orあるのか)?

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