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CAEベンチマークで最大70%の速度向上 最新ワークステーションの実力とは設計開発環境

AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ プロセッサを搭載した日本HPの最新ワークステーション「HP Z6 G5 A」は、CAEツールのベンチマークにおいて最大で約70%のスループット向上を確認したという。その実力に迫った。

» 2024年04月16日 10時00分 公開
[PR/TechFactory]
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 製造業において、3D CADを用いた設計開発用途を中心にワークステーションの導入が広く進んでいる。ワークステーションに搭載されるCPUやGPU、メモリは日進月歩の技術革新を続けており、M.2 SSDによるディスクI/Oの向上も含めてマシン全体のスループット向上には目覚ましいものがある。今や一般的な3D CADの利用であればエントリークラスのワークステーションでも十分な性能を有しており、各設計者が保有することも当たり前になっている。

 その一方で、CAEツールや外観デザインなどのレンダリング用途の特に重い処理ではワークステーションより強力な、サーバベースのHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)クラスタで構成したスパコンクラスのシステムを共有する形で利用することも多い。

 ところがCPUやGPUの性能が飛躍的に高まったことで、HPCクラスタで行ってきたCAEやレンダリングをワークステーションで高速に実行することが可能になってきたのだ。

 CAEやレンダリングの実行環境の「HPCクラスタからデスクトップへのダウンサイズ」を推進する技術トレンドによって、設計開発業務におけるワークステーションのカバレッジはますます拡大している。

CAEでまず重視すべきはCPU性能

 CAEやレンダリングなどにおけるサーバからワークステーションへのダウンサイズは、設計開発の現場にどんなメリットをもたらすのだろうか。

日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 本部長の大橋秀樹氏 日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 本部長の大橋秀樹氏

 何よりも大きいのは、リソース利用の自由度の向上だ。日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 本部長の大橋秀樹氏は「データセンターのサーバファームを利用して構造解析などを行う際は、ジョブをキューに投げて実行結果を待つという形になり、境界条件やパラメーターを変更して多くのパターンの解析ジョブを投入する必要があるのですが、他部署の利用との兼ね合いもあり、思うようにリソースを占有できないのが現実です。もっと自由に手元でトライ&エラーを繰り返したいと、多くの設計者や解析専任者は思っていたのではないでしょうか。現在の高性能のワークステーションは、そんな潜在ニーズにも応えられます」と語る。

 ワークステーションならば導入のハードルも低い。データセンターのサーバファームの構築や更改は全社的なIT投資計画に基づいて行われるのが通常であり、設計開発部門だけで導入を決断することはできない。経営サイドからコスト抑制の指示が出て、導入時期の延期や規模の縮小を余儀なくされることもある。

 ワークステーションであれば、設計開発部門の独自予算で導入可能だ。「多くのワークステーションの価格帯は、稟議(りんぎ)申請して決済できる範囲内に収まっています」(大橋氏)

 ただし解析業務の効率化を考えると、ハイエンドクラスの性能が求められることになる。さらに、ハイエンドのワークステーションと言ってもさまざまな特徴がある。解析業務用途でまず注目したいのはCPU性能だ。

日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 市場開発担当部長の新井信勝氏 日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 市場開発担当部長の新井信勝氏

 日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 市場開発担当部長の新井信勝氏は「最近のCAEツールには、AIアシスト機能をはじめGPUの活用を前提とした新機能も搭載されつつあります。しかし、多くの解析専任者が使っている主要なCAEツールのソルバーはCPUに最適化して開発されているため、まず重視すべきはGPUよりもCPUなのです。もちろんユーザーのワークフローの中でGPUを使用するCAEツールが増えてきますので、必要に応じてGPUを増設できるワークステーションは用途に合わせて最適な構成を柔軟に構築いただけるところが利点となります」と述べている。

日本HPが満を持してリリースした「HP Z6 G5 A」ワークステーション

 HPCクラスタからデスクトップへのダウンサイズの技術トレンド、そして解析業務を中心にますます高まるCPU性能へのニーズを捉え、日本HPが2023年11月に発表して12月に発売した最新ワークステーションが「HP Z6 G5 A」だ。

「HP Z6 G5 A」の特徴 「HP Z6 G5 A」の特徴[クリックで拡大] 提供:日本HP

 HP Z6 G5 Aの最大の特徴は、1CPUに最大96コアを実装することが可能な「AMD RyzenTM ThreadripperTM PRO 7000 WXシリーズ プロセッサ」を搭載したことだ。

 大橋氏は「当社としては、デスクトップワークステーションに『Opteron』を搭載した時代以来のAMDプロセッサの採用であり、ZシリーズのデスクトップワークステーションとしてはAMDプロセッサの採用は初めてです」と述べる。前世代に当たる「AMD RyzenTM ThreadripperTM PRO 5000 WXシリーズ プロセッサ」のワークステーションへの採用は競合他社が先行しており、日本HPの顧客からもAMDプロセッサの採用について問い合わせが入っていたという。「前世代よりも大幅にCPU性能が向上したAMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ プロセッサの採用では競合他社に先行できました」(大橋氏)。HP Z6 G5 Aは、まさに日本HPが満を持して市場投入したAMDプロセッサ搭載ワークステーションなのだ。

 AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ プロセッサは、現在のサーバ向けCPUの分野をリードしている「AMD EPYCTM プロセッサ」と同じアーキテクチャを採用しているのが特徴だ。2023年11月、スーパーコンピュータ性能の世界ランキング「TOP500」のリストが更新された。この頂点に立ったのが、AMD EPYCプロセッサを搭載した米オークリッジ国立研究所の「Frontier」だ。TOP500リストにランクインしたAMD EPYCプロセッサ搭載スーパーコンピュータは、前年比39%増の140台に上る。エネルギー効率が高いスーパーコンピュータのランキングである「Green500」でも、トップ10台のうち8台にAMD EPYCプロセッサが搭載されている。

 大橋氏は「HPCの世界的な市場で注目されているAMD EPYCプロセッサと同じアーキテクチャということで、当然ながらAMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ プロセッサに対する設計開発者の期待値は高まっています」と力を込める。

 AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ プロセッサは、AMD EPYCプロセッサと同じく5nmプロセスルールで製造されたCPUであり、そのメリットを最大限に生かせる。5nmプロセスルールを採用したからこそ、最大96個のコアを搭載して消費電力や熱を抑えつつ動作周波数(クロック)を上げることができる。AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ プロセッサは、2.5GHzのベースクロックから最大で5.3GHzのブーストクロックで動作させることが可能だ。「CPUクロックはCAEのスループットを大きく左右するだけにお客さまも重視しており、この数値が目にとまってHP Z6 G5 Aのお問い合わせを頂くこともよくあります」(新井氏)

 もちろん、最新CPUを搭載したことだけがHP Z6 G5 Aの特徴ではない。最大3枚のハイエンドグラフィックスカードを構成することができ、リアルタイムレンダリングやバーチャルプロダクション、AI(人工知能)/機械学習といった幅広い用途に対応できる。最大6基のPCIeスロット(第5世代まで)ならびに12基のNVMe SSD搭載スロットを備えており、拡張性が高いことも併せて述べておきたい。

非AMDプロセッサ搭載マシンよりもCAEのスループットが約70%向上

 日本HPは、HP Z6 G5 Aをはじめとするワークステーションの性能や特性を客観的かつ的確に把握できるように、自社が測定したCAEツールのベンチマーク情報をWebサイトで公開している。

 今回は、ワークステーションでの利用がますます拡大すると想定されるCAEツールのベンチマークとして、業界を代表する構造解析ソフトウェアであるANSYSの「ANSYS Mechanical」とダッソー・システムズの「Abaqus」を用いてHP Z6 G5 Aと非AMDプロセッサ搭載のZシリーズワークステーションの処理性能を比較した。その結果、HP Z6 G5 Aは並列利用コア数などの条件によるもののスループットが最大で約70%向上することが確認された。

ANSYS Mechanicalを用いたHP Z6 G5 Aと非AMDプロセッサ搭載Zシリーズワークステーションのベンチマーク結果 ANSYS Mechanicalを用いたHP Z6 G5 Aと非AMDプロセッサ搭載Zシリーズワークステーションのベンチマーク結果。「Z8 Fury G5+w9-3475x」によって4コア並列で処理する場合の速度を1として比較している。赤色の棒グラフで示したHP Z6 G5 Aは、同じコア数を用いた処理速度でおおむね高い性能を示していることが分かる[クリックで拡大] 提供:日本HP
Abaqusを用いたHP Z6 G5 Aと非AMDプロセッサ搭載Zシリーズワークステーションのベンチマーク結果 Abaqusを用いたHP Z6 G5 Aと非AMDプロセッサ搭載Zシリーズワークステーションのベンチマーク結果。「Z8 Fury G5+w9-3475x」によって8コア並列で処理する場合の速度を1として比較している。赤色の棒グラフで示したHP Z6 G5 Aは、8コア並列で利用する場合に速度向上倍率が1.69と極めて良好な結果が得られた[クリックで拡大] 提供:日本HP

 大橋氏は「AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ プロセッサはレンダリングでも高い評価を得ており、製造業の設計開発の現場でもそのイメージが浸透しています。さらに、建築/土木の分野において大規模な点群データを高速に処理できるというフィードバックをお客さまからいただき、BIM/CIM分野での需要も高まりつつあります。今回、HPが独自に実施したベンチマーク結果においてもHP Z6 G5 AがCAEでも高い性能を発揮できることを示しています」と評価する。日本HPの立場としては、HP Z6 G5 Aという新たな武器を得たことでワークステーション提案の選択肢が飛躍的に広がったと言える。

 「お客さまが目的とするソフトウェアに対して、どのCPUを搭載した、どのワークステーションの、どんな構成がベストなのか。選択がしっかり定まれば、お客さまの業務効率やスピードを大きく向上させることができます。日本HPはさまざまなソフトウェアベンダーとのパートナーシップを通じて豊富なユースケースを紹介する他、今回行ったようなベンチマークもさらに充実させたいと考えています」(新井氏)

 「国内製造業と日本HPの関係は非常に長く、UNIXベースのEWS(エンジニアリングワークステーション)の時代からリピートを重ねて採用していただいているお客さまも数多くおられます。だからこそ日本HPは、製造業を取り巻くビジネス環境の変化に対応したワークステーションをタイムリーに提供することを使命としています。そうした中でも今回のHP Z6 G5 Aは、日本HP自身のチャレンジを体現した新世代のワークステーションとして性能や信頼性などあらゆる観点から自信を持ってお薦めできる製品です」(大橋氏)

 日本HPは、HP Z6 G5 Aをより詳しく知りたいという顧客向けに最適な構成についての相談や検証機の貸し出し、さらには顧客の評価用のデータを使ったベンチマーク実施にも個別対応しているという。まずは問い合わせてみてはいかがだろうか。

日本HPの大橋秀樹氏(左)と新井信勝氏(右) 日本HPの大橋秀樹氏(左)と新井信勝氏(右)。両氏の中央にあるZ6 G5 Aなどの高性能ワークステーションを国内製造業に提案していく[クリックで拡大]

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