微細化の限界を打破するMore than Mooreに向けた研究がアカデミアで盛んだ。革新的な半導体の開発ではさまざまなIPを試したいというニーズがあるが、IPライセンスのコストが研究者を悩ませている。京都大学が選んだ、IP活用の最適解とは
いわゆる「ムーアの法則」に基づいて推し進められてきた半導体の微細化は、いまや限界に近づいているともいわれる。そこで半導体に新たな機能を付加した革新的なデバイスを創造すべく「More than Moore」の技術開発が世界的な動きとなっている。集積回路にセンサーやMEMS(機械要素部品)などの異種デバイスを集積することで、従来なかった機能を実現するアプローチだ。このMore than Mooreのトレンドをリードし、半導体デバイスに物質化学を融合させた化学集積デバイスの実現を目指しているのが京都大学大学院情報学研究科の新津葵一教授だ。
新津教授は「自己発電型の超小型IoTタグ」や、その展開例である糖発電を用いた「血糖値モニタリング支援スマートコンタクトレンズ」などの開発で知られる研究者だ。そこで培われたセンシング技術は、JST(科学技術振興機構)が主導するムーンショット型研究開発事業での「生体内サイバネティック・アバターによる時空間体内環境情報の構造化プロジェクト」にも採択され、新津教授は課題推進者(Performer)として当プロジェクトに参加している。現在の主なテーマである化学集積デバイスでは「チップ上に化学を集積する」「化学素子を集積する」という2つのアプローチから、バイオセンサー集積回路およびそこに無線通信機能を搭載したバイオメディカルIoTへと、研究開発の裾野を広げている。
もっとも、予算やリソースの限られる国立大学でこうした最先端の研究開発を続けていくのは容易なことではない。そうした中で新津教授の取り組みを後押ししているのが、Armが展開する「Arm Academic Access」だ。
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