国内の工場やプラント、社会公共インフラなどの設備は老朽化が進んでおり、それらの保守を担う作業員の高齢化に伴う人員不足が課題になっている。これらの設備の保守点検作業で大きな負荷になっているのがアナログメーターの目視点検や、設備稼働音に基づく聴音点検などだろう。日立製作所は、これら人の五感に基づく保守点検のデジタル化に向けて、現場のデジタライゼーションをコンセプトとするソリューションを提案している。
日本の高度成長を支えてきた国内の工場やプラント、社会公共インフラなどの設備が老朽化するとともに、それらの保守を担ってきた作業者の高齢化に伴う人員不足が大きな課題となっている。例えば、国内のエチレンプラント設備は、その半数以上が2022年に稼働年数50年を超えようとしている(※1)。その一方で、石油精製所の全作業員の約3割を占める51〜60歳のベテランが引退を迎えつつある(※2)。
※1 出典:日本の石油化学工業50年データ集(重化学工業通信社)
※2 出典:高圧ガス保安協会実施アンケート
これらの課題は数字としても如実に顕在化しつつある。危険物を取り扱う施設の数そのものは減少しているにもかかわらず事故件数が増加している。当然のことながら危険物施設は厳格な基準に沿って計画保全や点検が行われているが、それでも腐食疲労など想定外の劣化による事故が発生しているのだ。2016年に、電力会社の送電施設で発生した火災事故によって引き起こされた58万戸規模の大停電が記憶に新しいが、その原因は送電ケーブルの経年劣化による絶縁破壊だった。施設が老朽化し、作業員の人員不足が問題になる中で、こうした事故を今後いかにして防ぐことができるのだろうか。
これらの設備を巡回点検する保守作業員は、点検作業そのものだけでなく点検スケジュールの調整や点検結果の入力などを含めてオンサイトの全ての業務をカバーする“エッセンシャルワーカー”といえる存在だ。そして、現在の新型コロナウイルス禍においても現地への移動が求められるなど身体的負担とともにリスクも高いため、今後はニューノーマルに対応し、リモートモニタリングを活用した新たな働き方への移行が不可欠となっている。これらの課題を解決すべく、保守高度化の実現に向けて日立製作所が提案するのが、現場のデジタライゼーションというコンセプトだ。
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