横浜ゴムは2017年1月、世界主要生産拠点の生産実績や稼働状況を見せる化して横串で比較できるシステム「FUJITSU Enterprise Application Intelligent Dashboard」(以下、Intelligent Dashboard)を導入した。その背景には、競争力の強化に向けて、グローバルレベルでの全体最適を急ぐ日本の製造業に共通する課題があった。同社はなぜIntelligent Dashboardを導入したのか。そして、その先には何があるのかを探っていこう。
日本の製造業の海外での生産比率は年を追うごとに高まっている。2017年9月に経済産業省が公表した海外事業活動基本調査によると、2015年度における製造業の海外生産比率は25.3%と、前年度と比べて1.0ポイント上昇し、過去最高となった。ここ10年間では約7ポイントも高くなっている。
こうした生産拠点の海外シフトは、製造業の企業経営に大きな影響を与える。海外生産比率が上がり、本社のコントロールが効きにくい海外の生産拠点の重みが増せば、日本国内の拠点も含めた全体最適が一層いっそう求められるようになるからだ。生産拠点単体の個別最適化ではなく、拠点を横断した最適化が企業の経営効率を左右する時代になったのである。
「ADVAN」などのタイヤブランドで知られる横浜ゴムも同様の課題を抱えていた。同社のIT戦略の責任者である常務執行役員IT企画本部長兼タイヤ物流本部本部長の鈴木忠氏は「20年前は主に国内拠点でタイヤを作っており、海外の拠点での生産分は調整用とみなされていました。しかし、今は海外の生産拠点の比率が高まったので、グローバルで生産状況を把握し、最適化する必要が出てきました」と語る。
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アイティメディア営業企画/制作:TechFactory 編集部/掲載内容有効期限:2018年4月14日