設計データや研究データの漏えい事件が頻繁に報じられ、多くの日本の製造業ではその対策に苦慮している。とりわけ中堅・中小企業ではいかにシンプルな方法で設計データを守るかが喫緊の課題となっている。「製品発売時には既に競合の類似製品が発売されていた」というような大惨事を避けるために、どういう対策が考えられるだろうか。
2014年3月、国内大手電機会社の半導体に関する研究データが海外企業に流出した事件が発覚した。同様の事件がここ数年、国内外で後を絶たないこともあり、モノづくりの生命線ともいえる設計・研究データの漏えいに対し、多くの製造業が危機感を募らせている。とりわけ3次元CADに代表される高度にデジタル化された設計データは、流通性が非常に高く、多拠点でのコラボレーションを実現するというメリットがある反面、流出リスクの増大にもつながっている。
例えば国内のあるOA機器メーカーでは、新製品の設計データが何者かの手によって流出してしまい、製品を実際に発売した時には既にサードパーティー製の周辺機器や消耗品など市場に出回ったことがあったという。例えばプリンタなどでは本体の価格を抑え、トナー・カートリッジを購入してもらうことで利益を確保するビジネスモデルだが、そのトナー・カートリッジを他社に売られてしまえば収益そのものに大きく影響する。このように設計データの盗難は、自社のビジネスにダイレクトに損害を与えるほどのインパクトをはらんでいるのである。
では「CADデータを漏えいしないように封じ込めればいいのか」というと、ことはそう単純ではない。
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アイティメディア営業企画/制作:TechFactory 編集部/掲載内容有効期限:2014年7月28日