製造業でのディープラーニング活用、足踏みせずに実現するための最適解は?:品質検査や故障予知など
現在、品質検査や設備の故障予知などの領域で、「ディープラーニング(深層学習)」の活用に踏み出そうとする製造業企業が増加している。しかし、自社で実装するにはハードルも高く、実現までの道のりは長く険しいというのが一般的な認識だろう。では、どうすればディープラーニングの恩恵をスムーズに享受できるのか、その最適解を探ってみたい。
製造業でディープラーニング活用が進む背景
日本の製造現場は、生産性向上や品質確保、コスト削減といった取り組みにおいて世界的に高い水準にあり、“乾いた雑巾”と例えられる通り、従来のカイゼン手法だけでは大きな成果を得にくくなってきている。そうしたこともあり、製造業における課題解決、あるいはさらなる成長、変革への方策として、AI(人工知能)の活用が当たり前のように検討される時代になってきた。
特に画像認識は、人による目視や熟練技術者の経験といった“見えにくいノウハウ”をモデル化できることから期待も大きい。その背景には、人材不足、判断のバラツキ、技能伝承などの課題がある。中でも品質検査、外観検査、製造ラインの故障予知といった、人手や経験に頼ってきた工程においては顕著だ。また、海外拠点で現地採用、現地生産を展開するには、国内と同等レベルのノウハウや技術をいかに保持できるかが重要となってくる。
一方、2000年代から提唱され始めた「ディープラーニング(Deep Learning:深層学習)」は、人間が行うタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法の1つで、AIの活用や発展に大きなインパクトを与えている。画像によって判断するという技術は、ディープラーニングが急速に進化したことで認識精度が著しく向上し、画像の認識および解析の領域は、今や人間の認識能力を超えるほどに成熟している。ディープラーニングを活用するには、膨大なデータを高速かつリアルタイムに処理しなければならないが、クラウドの普及やハードウェア性能の向上などにより環境も整い始め、ディープラーニング技術による画像認識は、医療現場の画像診断、自動運転をはじめとする複数領域で、実際に活用されるまでになっている。
近年はディープラーニングの活用に向けて、具体的に動き始める製造業企業が増えている。これは、ディープラーニングが製造業の課題解決の手段として、有力な選択肢となっていることの表れといえるだろう。ノウハウのパッケージである判別モデルが確立できれば、それは企業にとって貴重な財産となり、課題解決はもちろん、競争力を高めることにもつながる。また活用が進むにつれ、例えば危険な場所や設備の検査、監視、あるいはスマートフォンを利用した導入しやすい検品システムなど、今後さらに適用領域、適用方法が広がることも予想される。
実装に必要な膨大かつ地道な作業を、大幅に効率化する方法とは?
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アイティメディア営業企画/制作:TechFactory 編集部/掲載内容有効期限:2018年8月7日
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