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硬性内視鏡による生体組織の3次元イメージングKTN光スキャナー

新エネルギー・産業技術総合開発機構は、NTTアドバンステクノロジ、大阪大学と共同で、KTN結晶を用いた光スキャナーにより、硬性内視鏡による生体組織の3次元イメージングに成功した。

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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2017年4月14日、KTN結晶を用いた光スキャナー(KTN光スキャナー)を硬性内視鏡に組み込み、これを光干渉断層計(OCT)と組み合わせることで、硬性内視鏡による生体組織の3次元イメージングに成功したと発表した。体の表面に小さな穴を開けるだけで、組織内部のイメージをリアルタイムかつ低侵襲で診断・治療できる。NTTアドバンステクノロジ、大阪大学と共同開発した。


 硬性内視鏡の先端部には、レーザー光を体内に届けるための直径7mm、長さ53mmのレンズが装着される。体に開けた穴からこのレンズを体内に挿入し、患部のイメージングを行う。今回は体内には実際に挿入せず、ヒトの指の表面から3次元イメージを取得した。汗腺、真皮などの複雑な内部構造をイメージングできたことから、実用レベルの分解能が得られていることを確認した。

 硬性内視鏡は、KTN光スキャナー2台で構成。光スキャナーは透過型のため、レーザー光の光軸に沿って少数の光学部品を直線的に配置することで低損失化を実現し、16mm角×183mm長、重さ60gという小型・軽量の硬性内視鏡が可能になった。

 KTN光スキャナーは、電圧で結晶内部の屈折率分布を制御する。機械的な可動部分がないため、長時間の使用でも安定して駆動する。また、電気光学効果により、ポリゴンミラーやガルバノスキャナーに比べ、約1000分の1の消費電力で動作する。

 今後、NTTアドバンステクノロジでは、整形外科などの医療分野への展開を目指し、医療機器メーカーへ診断・治療用デバイスとして提供を進めていくとしている。

photophoto 開発したOCTの外観と取得に成功したヒトの指表面組織の3次元イメージ(出典:NEDO)

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