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» 2018年07月02日 09時00分 公開

組み込みエンジニアの現場力養成ドリル(6):「順調すぎるデバッグ」は本当に順調? (1/2)

組み込みソフトウェアの開発プロジェクトは工程表に沿って進行します。そこにはデバッグフェーズもありますが、あまりに「順調」である場合、そこには落とし穴が潜んでいるかもしれません。プロマネの立場で「落とし穴」を見つけてください。

[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士),TechFactory]

はじめに

 今回も、問題を解きながら、組み込み系ソフトウェア開発の「現場力」と「開発力」を鍛えましょう。

 これまで、仕様書のバグに関する問題が多かったので、今回の問題では、プロジェクトマネジャーの立場で、「デバッグ工程を続けるべきか、終了すべきか」の判断をしていただきます。今回のケースは「順調すぎるデバッグ」です。一見、理想的に進んでいるようですが、落とし穴が満載。厳しい目で分析し、表面上の問題点と、問題の本質を見つけてください。

順調「すぎる」デバッグには落とし穴が…… 順調「すぎる」デバッグには落とし穴が……?

問題編(制限時間30分)

 デバッグ終了宣言をすべきか?

 Aさんは、機器制御系の組み込みソフトウェアを新規開発しているプロジェクトのプロジェクトマネジャーです。開発期間は10カ月でC言語を使って開発しています。コーディングフェーズが終了した時点でのソースコードの総ステップ数は、コメント行を除き51KLOC(lines of code)。プロジェクト人員はAさんを含め6人です。

 プロジェクトは2週間の机上デバッグを終了し、10週間前に予定通りマシンデバッグ工程に入りました。Aさんが描いたテスト項目消化の「予定」と「実際」、摘出バグ数の「予定」と「実際」は図1の通りです(青い点線は、「予定」で、黒い実線が「実際の数値」です。便宜上、5月の連休はなく、土日以外はデバッグしていると仮定します)。

デバッグ工程でのテスト項目消化状況とバグの摘出状況

 テスト項目数は5397件。バグの摘出目標ですが、社内平均が3.8件/KLOCであるのに対し、このプロジェクトでは前回までの8回に渡る開発で平均5.9件/KLOCのバグが出ていたので、Aさんはプロジェクトのメンバーに310件以上のバグを見つけるよう指示しました。

 デバッグは6月11日に予定通り終了し、バグは273件摘出しました。6月11日現在、図1を見てAさんは、「デバッグは極めて順調に進んだ。目標とした品質を確保できているので、デバッグを完了する」とテスト終了宣言をしてもいいでしょうか? 問題があるとすれば、どんな問題があり、どんな手段を取るべきでしょうか?

解答編

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