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プロジェクトの種類と進め方を理解し、3D CAD推進に取り組もう!設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(5)(1/2 ページ)

設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第5回では、プロジェクトの種類や進め方の概要について解説する。

» 2017年01月20日 09時00分 公開

 3D CADの運用効果にはどのようなものがあるのでしょうか。前回、設計部門が抱える問題と、関連部門から見た設計部門の問題が浮き彫りになりました。この“「問題がある」という現実”と“「こうありたい」という理想”との間にはギャップが存在し、そこから生じる「問題」に対してどのように取り組むのかが「課題」となります(詳しくは連載第1回をご参照ください)。

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 まずは、大きな分類として課題を明確にしていきましょう。

3D CAD推進における課題の明確化 図1 3D CAD推進における課題の明確化 ※BOM……Bill of Material(部品表)

 図1ですが、「3D CAD」という項目以外については、ツールである3D CADに直接的に結び付くものではなく、企業として必要としているものが描かれています。これは、3D CADによって実現しようとするものが単なるツールの置き換えではなく、「会社の技術や経営に貢献するものとしたい」という思いの表れでもあります。

 筆者はこれまでの経験に基づき、3D CADの効果を得るため、またその目的として、関ものづくり研究所の関伸一氏が提唱する「TPD(Total Product Development:全社的製品開発)」に賛同し、これを目標としています。なお、TPDについては、3D CAD運用における全体像を紹介する際に触れることにします。

 ここでは、図1の課題を目的に3D CAD推進のプロジェクトを進めていきます。プロジェクトの進め方としては、前回お話したように「目的」「なぜ」「誰が」「いつ(いつまでに)」「どのような方法で」「いくらの予算で」を決めることが重要です。


プロジェクトの種類と進め方

 代表的なプロジェクト進行の種類(スタイル)には、「ウォーターフォール」「スパイラル」「アジャイル」があります。こうした用語を聞くと「システム開発の話では?」と思われるかもしれませんが、3D CAD推進も立派なプロジェクトの1つですから、これらを理解しておいて損はありません。

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