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「1人1台」の自動運転開発環境、5万円から提供ルネサス エレクトロニクス R-Car スタータキット

ルネサス エレクトロニクスは、ADASなど車載ソフトウェア開発向けとして、5万円から購入できる開発キットを投入する。各種オンラインショップなどからも購入可能で、入手性を高めエンジニアの参入を促す狙いだ。

» 2016年10月25日 08時00分 公開
[渡邊宏TechFactory]

「1人1台」の車載ソフトウェア開発環境

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2016年10月19日、車載情報機器向けSoC「R-Car M3」および「R-Car H3」を搭載した車載ソフトウェア開発キット「R-Car スタータキット」を同年11月より販売開始すると発表した。

 「1人1台」を実現するため、R-Car M3搭載パッケージ「R-Car スタータキット Pro」では499ドル(約5万円)という安価な価格設定となっており、各種オンラインショップなどからも購入できる。なお、R-Car H3搭載の「R-Car スタータキット Premium」は799ドル(約8万円)だ。

photophoto 「R-Car スタータキット」と「R-Car M3」

 同社SoC「R-Car」シリーズにおいては、自動運転レベル3に対応するハイエンド製品「R-Car H3」が既に出荷されており、新たに用意された「R-Car M3」はR-Car H3とソフトウェア的な互換性を維持しながらもミドルクラス車両に向けた機能の最適化が行われている。ちなみにこうしたハイ&ミドルの商品構成は前世代のR-Carでも行われている。

 R-Car M3はCPUコアに上位製品のH3と同様にCortex-A57/A53を採用、外部メモリについてもLPDDR4-SDRAMを接続可能としておりパッケージはSiPも用意される。画像認識や分岐処理を独自の並列プログラマブルコアであるIMP-X5で行う構成もH3と同様だ。ただ、GUPはH3のPowerVR GX6650からGX6250に変更されている。

 ソフトウェアプラットフォームとしてはLinux(AGL:Automotive Grade Linux)とAndroidに加えて車載用として数多くの実績を持つRTOSであるQNXのNeutrino、Green Hills SoftwareのINTEGRTYに対応。加えて、WaylandやOpenCLといったHMIソフトウェアにも対応する。

 自動運転技術を始めとする自動車の高度化に伴い、開発技術者の人手不足は深刻化しており、ルネサスでは車載情報機器の開発経験を持たないエンジニアでも参加できるよう、「低価格で1人1台が利用できる車載開発キット」として新製品を製品化したとしている。この意向は販売形態にも反映されており、同社販社及び特約店のみならず、AVNETとマルツエレックといった販売代理店からも購入可能だ。

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